hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

代表チームにおいて、戦術は重要か?

サッカーというスポーツは誰にでも楽しめる反面非常に奥が深く、海外ではチェスに似ていると言われている。

超一流監督にも決して極めることができない、人間の知能を超越した知的なスポーツなのだ。

そういうスポーツなので、選手の質と同等かそれ以上に、戦術が重要視されている。

 

例えば、「ボランチがサイドにパスを出したらセンターフォワードは裏に走り、真ん中にスペースを作る。そこにボランチが走り込む」とかいったものが戦術だ。

これを上手く練り上げれば、数年前のドルトムントアトレティコのように、超一流揃いというわけではないチームでもめちゃくちゃ強くなれる可能性がある。それがサッカーの醍醐味だろう。戦術次第でチーム力が大きく変わる。

 

しかし近年、一部界隈で「細かい戦術っていらなくね?」という声が出てきている。

どういうことか。

 

有名な話だが、現代サッカーではデータや人工知能を使って相手チームの戦術を徹底的に研究する。2014年W杯のスペイン代表がオランダに徹底的に対策されて何もできず惨敗したのは好例だ。(そういやあの大会ではザックジャパンも同じ目に遭ってたな)

そのせいか、2018年W杯でも、大金星こそ少なかったが、強豪国が中堅国に大苦戦することが多くW杯で優勝を狙うような強豪国であっても攻撃戦術を徹底的に対策されれば苦戦するということが明らかになった。

 

また、重要なのが、2018年W杯では戦術に固執しないチームが多く見られたことだ。

イングランドは若い頃からずっと一緒にチームを組んできたサウスゲートとその仲間たちが知的な戦術を披露していたが、その知的な戦術が攻略されていることに気づいた途端、トリッピアーのキック精度とマグワイアの強さを活かしたセットプレーからの得点に依存することになった。

ブラジルも、戦術戦術していては勝てないと思ったのか、Mr.戦術のレナト・アウグストではなく、戦術の枠を超えて動き回るパウリーニョを重宝していた。

ベルギーはデ・ブライネのアイデア力とアザールの個人技に強く依存していたし、クロアチアは天才2人のアイデア力で試合を操っていた。フランスは特にヤバく、攻撃の戦術がろくになかったことを世界中から批判された。(まあ個人的にはエムバペとパヴァールの右サイドコンビを活かすためにチーム全体が動いていたのは立派な戦術だと思ったけどな)

 

このような、戦術よりも「選手のアイデア」を重視するスタイルは、2002年、2006年のブラジル代表そっくりで、時代遅れな印象を受けるかもしれない。

しかし、裏の裏をかくとでも言おうか。戦術を徹底的に研究する今の時代、逆に選手のアイデアに任せるやり方の方が、相手は(研究・対策ができず)苦しむ可能性があるのだ。もちろんこれを成功させるには選手全員が高いサッカーIQを持っていなければならず、楽そうに見えてかなり難しい。西野朗が頑なに山口ではなく長谷部を使い続けたのも、山口がいるとチームがバラバラになると考えたからだと思っている。

 

※以上に述べたことはあくまで攻撃の話で、守備に関しては戦術をしっかり植えつけておかないと守備が崩壊する。攻撃と違い守備はミスが許されない。「その場のアドリブで動こうぜ」では壊滅するのだ。

さらに言えば、これは毎週のように試合をするクラブチームではなく、ナショナルチームでの話である。ナショナルチームは試合がしょっちゅうあるわけではない分、対策にかける時間が豊富に存在する。それゆえ、ナショナルチームには「戦術にこだわらない方が良いのではないか」という意見が出てくるのもわかるような気がする。

 

追記: おそらく森保ジャパンも戦術を植え付けていくとは思うが、案外西野ジャパンが柴崎に任せたように、天才のアイデアと指揮に依存するスタイルの方が、つかみどころがなくて強いのかもしれない。まとめ(というか繰り返し)になるが、ナショナルチームで戦術に拘ることは必ずしも正しいとは言えない。共に練習する時間が少ないので戦術の徹底は不可能だし、敵チームからしてみれば戦術を研究する時間が豊富にあるしで、むしろ確固たる戦術の無いチームの方が怖いのではないかと思わないこともない。2014年のアルジェリア、2018年のフランスのように。

 

ちなみに、戦術に固執するにしても固執しないにしても、ゲームメイク能力があるボランチは非常に重要になる。現状このタイプの海外組は柴崎のみ。柏の手塚や川崎の守田は早いうちに海外に挑戦しても良いのではないだろうか。

 

Imagination rules the world.

想像力が世界を支配する。

ナポレオン (フランスの軍人、政治家)