ライト層とサッカーを観る時の俺の流儀 (プロフェッショナル)
時々、サッカーをほとんど知らない人(いわゆるライト層)と一緒にサッカーを観ることがある。テレビでも現地でも。男性とも女性(1人だけ。数年前の話)とも。
オフサイドって何? セットプレーって何? というレベルの人たちだ。
このような人たちは、20年以上生きてきてサッカーにあまり興味関心を持たなかったのだ。ゆえに、サッカーの魅力を伝えるのが非常に難しい。上手く伝えられなかったり、悪い印象を与えてしまったりすれば、サッカーからは当分距離を置くか、少なくともファンになることはなくなるだろう。
サッカーファンになるポテンシャルを持った人を、1人減らすことになるのだ。
だから責任重大なのだ。(自分で言うか)
そんなミッションに挑む上で、俺なりに気をつけていることが3つある。今日はそれを書いていこうと思う。俺とサッカー観戦をした人は皆「楽しかった!」と言ってくれるので、おそらくノウハウとしては有効だろう。(無論お世辞の可能性も否定できないが、それを言ったらキリがないのでここでは素直に喜んでおく)
1つ目
「選手やチームの悪口を言わない」
これはとても大事。皆さんが普段会話する相手はおそらくサポーターなので、「○○のフロントはカス! まともな監督を連れてこい!」といったチームの悪口・愚痴を言ってもなんら問題ないだろう。だが、普段サッカーすら観ない人たちは違う。ネガティブな言葉を聞かされると、サッカーそのものにネガティブな感情を持ってしまうかもしれないのだ。
例えば貴方がメジャーリーグを観に行った時に、「いやー、今のヤンキースは昔のようなカリスマ性が無いんだわ! サンチェスとジャッジはすげえけどさ! あとはどいつもこいつも中途半端で、こんな奴らがヤンキースの選手としてプレーしていると思うとイライラするわ!」 とか言われたら、どう思う?
なんかネガティブな感情に陥るし、何より疲れるでしょう? 一緒に試合を観戦する人は、貴方の愚痴を聞くためにスタジアムまで来たのではない。サッカーを楽しむために来たのだ。
人間はネガティブなことを聞かされると疲れる傾向にある(と思う)。せっかく一緒にサッカーを観に来てくれた人に嫌な思いをさせたいかい?
どうしてもsomething negativeを言いたくなったら、軽いノリでユーモアを交えてね。
「○○って選手は下手だわ〜!まあ俺の百倍上手いけど!」みたいに。
まあ、言わないに越したことはないよ。
あと、小さな好プレーにも大げさに反応しよう。「へえ〜ああいうプレーが凄いんだ」と分かると、その人は一気にサッカーを知った気分になる。(というか実際にかなりサッカー眼が進歩する) 何より盛り上がるよ。これが上手いのが松木安太郎と城彰二。城は基本ネガティブだが、高校サッカーの解説をするとポジティブマンになるので面白い。
一方で「あんなの大したことないんだよ。バルサでは〜」なんて言ってる人とサッカーを見ても、楽しくない。多分 笑 大体反応に困るし笑
2つ目
「解説しすぎない」
これは非常に難しいこと。どうしてもライト層と一緒となると、サッカー、チーム、選手の魅力を知ってほしくて色々と語りたくなる。俺も昔は「浦和レッズは3バックの両サイドがめっちゃ攻撃参加するのよ。そうするとディフェンスラインが1人とか2人になっちゃうし、しかも全員守備力に課題のある選手だから、ボランチの阿部が後ろに下がってカバーするんだぜ。」といった、ライト層には細かすぎる話をしていた。相手は大抵熱心に聞いてくれるのだが、おそらく理解できない。
だって俺らもいきなりクリケットの細かい戦術とか語られてもちんぷんかんぷんでしょう? わけがわからない思いをすると、頭が混乱して、(またテンション的にも)試合を楽しめなくなる恐れがある。なのでなるべく、細かすぎる解説はやめておいた方がいいと思う。うるさいし。
一方で、最低限の解説は必要だろう。例えば名古屋グランパスの試合を観ているのなら、「あの超デカいジョーっていう選手は元ブラジル代表で、得点力がヤバイの。彼に向けて高いボールを蹴ればヘディングで勝ってくれるから、一気にチャンスになるんだぜ。あと、その後ろにいる優しそうなシャビエルって選手とイケメンの前田って選手はめちゃくちゃテクニックがある。この3人の破壊力半端ないって」とか。要するに、知っておくと試合がもっと楽しくなるような情報は、どんどん話したほうがいいと思う。ちなみにこれが上手いのは松木安太郎。あとさりげなく城彰二。またかよ笑
この2人はこういう風に、ライト層を楽しませるのが上手い。だからサッカーファンからすればよくわからなくても、重宝されるのだろう。確かなサッカー眼を持っているので、誰かさんのように変なことも言わない。ある意味手本となる存在である。
3つ目
「試合後に感想を聞かない」
これはあくまでも俺のやり方。話半分に読んでもらえれば。というかそもそも試合内容次第でもある。試合が間違いなく面白いものだったなら、聞いてもいいだろう。だがそうでないときは相手に無駄に気を遣わせるリスクがある。
そして、「この人とサッカーを観に行くと毎回しつこく感想を聞かれそうで嫌だな…」と思われてしまうかもしれない! 気疲れさせてしまうのだ。そんなの渡辺謙も発狂するレベルの最悪のパターンでしょう? (そういやあのCM終わっちゃったね)
俺は基本的に、感想を聞かない。ただし試合内容について少し語ったりして、さりげなく感想を言いたくなるような雰囲気を作る。そして相手が何か感想を言ったら、相手の隙を見つけたイニエスタの如く攻勢をかける。聞かれて答えるよりも、自分から自発的に発言した方が、言った本人は発言内容に実感を感じると思うのよ。だから、聞かない。相手に自発的に語ってもらう。それを徹底的に拡げて、盛り上げる。
(盛り上げるのは結構難しいんだけどな。特に負け試合だと、それこそ俺が日本代表監督になるのと同じくらいに難しい。大人なら酒の力を借りてもいいと思うアル。)
以上、俺がライト層とサッカーを見るときに気をつけている三か条でした!
それと、大前提として、「自分もその試合を楽しむ」ことが大切だと思われる。一緒に試合を観ている人が楽しんでいれば、皆自然と楽しくなってくるのだから。
(なんでこんな大事なことを一番最後に補足的に書いてるんだろうな)
追記 : こんなに気を配ってるのに、一緒にサッカーを観に行った女性と付き合えないしん! それどころか最近は男としかサッカーを観にいけないしん! なぜ!?神様、どうか声を聞かせて。ほんのちょっとでいいから。
(真面目なことを書くと、女性とサッカーを観に行くとは言っても、その女性は完全なる友人だったり、近所の家の娘さんだったりするので、当然っちゃ当然の話。それはともかく、サッカーが好きな女性は素敵だ。美人ならなおヨロシ)
The essence of all art is to have pleasure in giving pleasure.
全ての芸術の本質は、喜びを与えることに喜びを感じることにある。
デール・カーネギー (アメリカのビジネス作家。自己啓発書「人を動かす」「道は開ける」は全世界でロングセラーとなっている)