hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

映画「コラテラル」について。

普段、映画の感想を逐一ツイッターに書くことはないし、ましてやブログに書いたことなど一度もない。

だが今回は書く。気が向いたのだ。

対象となるのは、トム・クルーズジェイミー・フォックスの共演、そして、トム・クルーズが悪役を演じたことで話題になったコラテラル」だ。 (まあタイトルの時点でバレてるんだけど)

コラテラル(吹替版)

コラテラル(吹替版)

 

この映画について聞いてみると、そこそこ映画が好きな人からも

「聞いたことはあるけど観たことはない」

という答えが返ってくる。

どうやら、トム・クルーズが悪役というのがなんだか嫌だったり、あらすじからクッソ暗い内容を想像してしまったりして、敬遠する人が多いようだ。タイトルもあまり一般的な単語ではない。(意味も「巻き添え」だし…)

 

同じような理由で、存在を知ってから5年近く観ずにいた俺だったが、先週、ついに鑑賞した。

感想: 「面白い!」

 

なんやねんそれ。小学生でももっとマシな感想言えるぞ。 と思っただろう。もちろん色々とこれから書いていく。ただ、観終わってまずパッと浮かんだのが「面白い!」という素直でシンプルな感想だったのだ。こういう映画は珍しいので、あえてこのように書いた。

さて、なぜ「面白い!」と思ったのかも含めて、書いていこう。まずはあらすじから。

 

あらすじ

陽気でいいヤツだが将来の悩みも抱えているタクシー運転手のマックス(ジェイミー・フォックス)。今日も抜群の道路知識を駆使して、客が得をする運転をしていた。しかしそんな彼がこの日最後に乗せたのは、マフィアに雇われた殺し屋のヴィンセント(トム・クルーズ)だった。マックスはそんなことはつゆ知らず、いつも通り目的地に到着。しかしそこで彼は、運悪くヴィンセントの犯行を見てしまう。

バレたか。こうなったら仕方ない。コイツも巻き込もう。と観念したヴィンセントに脅され、マックスは運転手として連続殺人に協力することになってしまう。

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感想

いやー、ひさびさにシンプルで知的な面白い映画を観た。ここ最近、トゥモローランドとか1408号室とか、やたらと難解な映画ばかり観てきて頭が疲れていたので、少しホッとさえした。

いや、本当に話は至極単純なんですよ。アクション要素多めだし、中学生でも楽しめるんじゃないかな。

そんな単純さの中で、序盤のさりげない会話、何気ない行動が終盤に無理なく使われたりする。「上手いなぁ!そういうことか!」と思わず唸る。

さらに、ターゲットを冷酷に殺すことのみを考えるヴィンセントと、人道を外れた行為が大嫌いなマックスの駆け引き(実際にマックスは何度か逃げようとする)もあったりする。

トムとジェイミーの演技力もさすが。トム・クルーズに悪役なんてできるのか〜?と半信半疑だったが、全く違和感がなくて草。特に発狂したりラリったりしてはいないのだが、静かに「コイツはヤバイやつだ」と知らしめる演技は見事。心底善良で明るいタクシー運転手を演じるジェイミー・フォックスは言わずもがな。どこにでもいる一般人を演じるのがこんなに上手い俳優だとは思わなかった。どう転んでも暗い映画にしかならなそうなこのストーリーが、「ちょい暗い」程度で済んでいるのは彼のパワフルな演技のおかげだろう。それと、絵も暗いんだけど夜景が綺麗なんだよね。音楽のチョイスもいい。意外に芸術的な側面がある。f:id:hasumyon-football:20181020121700j:image

終わり方もなかなかグッとくる。決して明るい終わり方ではないが、見事。感銘を受ける。

 

映画界では、複雑な映画がもてはやされる傾向にある。(トゥモローランドのように無駄に複雑にしすぎて酷評された作品もあるが)

やたらめったら複雑な映画が多い中で、この映画は、シンプルでいながら知性を感じさせ、伏線を丁寧に回収し、アクション、スリラー、ヒューマンドラマも見せてくれる。単純な映画は頭を使わなくても楽しめるので飽きがくることがあるが、この映画は飽きさせない。

 

yahoo!映画での評価は「そこそこ良い」程度のものだが、個人的には5点満点での4.5点はつけたい。シンプルでありながらこれだけ楽しませてくれるサスペンス映画って、そうそうないよ。アクション映画にはよくあるけど。

通ぶる人は「深みがない。単純すぎる」とか言うんだろうけど、その「サスペンス映画は全て深みがあって複雑でないといけない」という凝り固まった考え方はどうかと思うよ。そういう硬派なファンが、サスペンス映画を近寄りがたいものにしてしまう気がする。こういう映画があってもいいだろう。「単純だから」と言って低評価をつけるのではなく、ストーリーや演出などを総合的に見て評価をつけるべきではないだろうか。

 

俺としては、「難しい話は嫌だ。でもアクションばかり観ているのも馬鹿みたいだ。たまには知的なサスペンス映画も観たい」と感じている人にオススメしたい。面白いサスペンス映画は複雑で難しいものと相場が決まっているが、これは違う。

良き例外だ。

 

 

Simple can be harder than complex. You have to work hard to get your thinking clean to make it simple. But it’s worth it in the end because once you get there, you can move mountains.

シンプルは、複雑よりも難しい。シンプルにするためには一生懸命働いて思考をクリーンにしなければならないのだ。しかし最終的には、これは価値がある。なぜなら一度その境地に到達できれば、山をも動かせるからだ。

スティーブ・ジョブズ (アメリカの実業家。アップルの創業者)