hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

J1昇格プレーオフにおいて、上位チームは有利なのか。

先週、J1昇格プレーオフ第1戦で、5位大宮アルディージャが6位東京ヴェルディに敗れた。

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ところでこの試合、大宮は順位が上ということで、「引き分けでも2回戦進出」という特典があった。(一方、順位が下の東京ヴェルディは、勝つしかなかった)

 

これは、「大宮に有利」と考えるのが普通だろう。Jリーグもそう考えているからこのような仕組みを作ったのだろう。

 

しかし、先週のこの試合を観ていて、その考えを覆された人は多いのではないだろうか。

なぜなら、「引き分けでもいい」大宮が、引き分け狙いの守備的サッカーをしてしまい、ヴェルディに一方的に攻められる展開が続いたからだ。大宮が攻撃に力を入れていないのは、見れば明らかだった。

「俺たちは勝たなくてもいいんだ。0-0でいい。守備を固めよう。」という意図が透けて見えた。

 

しかし、これによってヴェルディは活気付いた。なにせ相手は、ろくに攻めてこない。

サッカー経験者ならわかると思うが、相手がろくに攻めてこないと精神的に非常に楽になる。両サイドバック(あるいはウイングバック)も積極的に攻撃参加できるし、実に戦いやすい。

守備を固められると点が取れないというのは当たり前の話だが、ヴェルディには都合が良かったはずだ。名将ロティーナのもとで攻撃の戦術を徹底的に練っているチームだから。攻撃に専念させてもらえたことは相当ありがたかっただろう。

ちょうど、攻撃戦術に力を入れていたザックジャパンが、守りを固めるアジア勢にはやたらと強かったのと同じように。

 

これを石井正忠監督の采配ミスだと言うのは容易だ。しかし、「大宮は引き分け以上で2回戦進出」「ヴェルディは勝たないといけない」という2つの条件をちらつかせれば、「相手は焦って攻めてくるだろうから、守備に人数を割こう。」と思ってしまうのが自然だ。前述したようにヴェルディは攻撃のアイデアが豊富だし。前線には好調の林がいるし。

そして、そのやり方は正しかったかもしれない。(実際、ヴェルディの決勝ゴールはセットプレーから生まれたもので、流れの中で大宮が崩されることは無かった。)

 

何が言いたいのかわからないかもしれないが、要するに、

「上位チームは戦い方の選択肢が2つある(勝ちor引き分け狙い)が、下位チームは1つ(勝つ)。精神的に一致団結して1つの方向に進めるのはどちらか」

という話だ。無論後者だろう。選択肢は多ければ良いというものでもない。かえって「あっちの方が良かったんじゃ…」という戸惑いの原因になることがある。サッカーのようなチームスポーツにおいて、自分たちのやっていることが正しいのか確信できなくなるのは致命的だ。ましてや一発勝負では。

 

選択肢が2つあると、かえって監督が悩み、チームの方向性も定まりにくくなる恐れがある。ましてや普段ドン引き守備固めサッカーをしていない上位チームとなれば、なおさらだ。

 

日曜日、J1昇格プレーオフ2回戦が行われる。ここでも、3位の横浜FCと6位の東京ヴェルディの対戦ということで、横浜FCには「引き分けでも突破」という特典が与えられている。

だがこれが必ずしも有利に働くとは限らず、むしろ不利になる可能性さえあることがはっきりしている。

横浜FCは引き分け狙いで大宮が失敗したのを見ている以上、勝ちに行くだろう。おそらく。ここは特に言及することはない。面白い試合になりそうだ。f:id:hasumyon-football:20181128161810j:image

さて、最後に、J1昇格プレーオフ3回戦(すなわち、J1J2入れ替え戦)だ。

ここでもまた、J1側のチームは「引き分けでもJ1残留」という状況に立つ。

入れ替え戦に参戦するのが名古屋グランパスなら、引き分け狙いの戦い方はしないだろう。彼らは上位相手でもガンガン攻めに行く。笑

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・問題は、その他のチーム、すなわちジュビロ磐田湘南ベルマーレサガン鳥栖だ。これらのチームはそれほど攻撃的なサッカーをするわけではないし、どちらかと言えば守備力の方が自信がある印象。(鳥栖は守りを固めるとJ1で一番堅い説あるし)f:id:hasumyon-football:20181128161908j:imagef:id:hasumyon-football:20181128161911j:imagef:id:hasumyon-football:20181128161915j:image

仮にこの3チームのいずれかが入れ替え戦に進出した場合、大宮が採ったような過度に守備的な戦い方をする可能性がある。しかしこれは非常に危険だ。どれだけ守備を固めても、セットプレー(コーナーキックフリーキック)で一発でやられる危険性がある。

守備固めをしてはいけない。「負けなければJ1残留」という甘い誘惑に惑わされず、あくまで勝ちに行く、それが勝利を手にする最善策だと、俺は思う。

 

追記: このようなことがあるからこそ、サッカーでは、「(勝たなくても次に進めるけど)勝ちにいきます」というコメントがよく聞かれるのだ。そう。別に格好つけたいとか、負けたくないとか、点を取りたいとか、そういうわけではない。「引き分け狙いの難しさ」を知っているから、勝ちに行くのだ。(多分)

 

追記2: 結論を書き忘れたので付け足します。笑

上位チームは精神的にはむしろ不利である。しかし、それさえ克服してしまえば、引き分けの時に上位優遇システムに感謝することになるだろう。結局、考え方・メンタル次第なのだ。