hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

森保ジャパンの方向性について。(ハリル解任の詳細、西野朗のやり方なども踏まえて)

 

f:id:hasumyon-football:20181226121611j:image槙野と岡崎の発言を受けて、前々から考えていたハリル、西野、森保のサッカースタイルについての考察を作り直した。

そもそもの発端である、未だに賛否両論のハリルホジッチのやり方。あれが一部ファンや選手から反感を買ったのは、彼の体制でまともなゲームメイクを出来なかったからだと思っている。(言い換えれば"脳筋サッカー")

その原因は、ハリルが前線の選手にも守備を重視させ、ゲームメイク…?なボランチの山口、井手口を重宝したこと。

そりゃ、面白い試合を見せろ! くらいにしか思っていないライト層は怒り、サッカーをよく知る人が「こんな脳筋サッカーで勝てるのか…?」と不安になったのも頷ける。

 

だが、攻撃陣や中盤の守備を軽視し、攻撃にばかり力を注いでいたザックジャパンが前回大会で爆死したことを記憶に刻み込んでいる人は、「世界に勝つには攻撃陣にも献身的な守備を求め、ボランチを守備専にするのが現実的なのかも」と考え、ハリル流を少なからず支持していたように思える。

 

だが、そんなハリルはW杯直前にクビに。

後任の西野朗本田圭佑

「中盤がゲーム作れんと勝てんやろ」

と考えたようで、ハリルに干され気味だった柴崎を中心に据えた。

ちなみに本田圭佑は、ザックジャパン流を貫きたかったのか体力が無かったのか、前線の中央で守備を怠けていた。しかし、代表に最も欠かせない男・大迫が、本田を暗に非難するコメント(前線の選手が全員で守備をしないと云々…)したこともあってか、「流石にこれではマズイ」と判断した西野朗によって控え要員に落とされた。

そして、守備力を落としながらも、中盤の攻撃力を高めた。(井手口、山口、長谷部→香川、柴崎、長谷部)

(余談ですが、ハリルなら呼ばれていた(本人談)中島を落とし、ハリルなら呼ばなかった宇佐美、怪我明けの岡崎を呼んだのは間違いだったと思ってます。)

 

そんな感じで日本代表は中盤の人員こそ変えたが、(本番直前なのでやり方を変えられなかったのか、現実を見てのことかはさておき)、基本的なやり方はハリル流だった。すなわち

・前線から守備をしろ

・コネコネしないでさっさとパスを出せ

・一対一で泥臭く戦い、絶対に負けるな

・ゴール前で美しさにこだわるな

といったハリルのコンセプトを継承しつつ、柴崎によるゲームメイクを取り入れたハイブリッドサッカー(悪くいえばどっちつかずな中途半端サッカー)をすることに。

 

そしてW杯での結果は以下の通り。

10人のコロンビアに勝利

セネガルと引き分け

1.5軍のポーランドに敗戦(日本も1.5軍だったが)

ベルギー戦は奮闘したとはいえ、所詮は力を抜いていたベルギーから後半開始早々に2点を取り、それで目が覚めたベルギーに逆転されただけとも言える。

果たしてこれは成功なのか…?

「成功だ。ハリルなら点を取れなかった」という人間がいるが、これは妄想に過ぎない。セットプレーとはいえ、ブラジル代表相手に得点を奪ったのは近年ではハリルジャパンのみだ。

「失敗だ。ハリルなら川島の状態を的確に見極め、中村か東口を起用していたはずだ。彼らなら擁護しようのない凡ミスしたりしなかった。彼らを使っていればセネガル戦には勝てたし、一位通過できた。そしてベルギーではなくイングランドと対戦できた」 とか、

「失敗だ。ハリルなら少なくともフェライニのマークを長谷部にやらせるようなことはなかった。植田を使っていただろう」という主張の方が、(やはり妄想に過ぎないが)まだ論理的かつ可能性の高い主張だろう。これは誰でもわかりますよね?


では、つまらなかったとはいえ勝率等のデータでは史上最高の結果を残し、強豪相手(日本が苦手なブラジルとか)の試合でもザック、アギーレ時代よりかは通用していた、ハリル流で挑んでいたら…?

結局のところ、それは誰にもわからない。

ドイツがグループリーグ最下位で敗退する、ロシアがスペインに勝つ等を誰が予想できただろう? 「〜なら1点も取れなかった」「〜なら内紛が起きて空中分解していた」「〜なら勝てていた」なんてのは、所詮、机上の空論でしかないのだ。


だが、あろうことか、これを安易に「成功」と捉えた男がいた。悪名高きJFA会長:田嶋幸三である。

彼は日本代表を時代遅れにさせたいのか、「オールジャパン」という笑えるほど時代遅れな用語を使い始めた。ビジネス界でもサッカー界でもJリーグでも、「いかに外国人材を活用して世界と戦っていくか」が重要になっている今の時代に、よりによって「オールジャパン(ドヤっ)」とは何事か。厨二病患者でもそんなこと言わねーゾ。


今後の日本代表はこの男の指揮下に敷かれ、またザック時代のガラパゴスな自分たちのサッカーに戻ってしまうのか?

 

個人的には、そうはならないと思っている。f:id:hasumyon-football:20181226120318j:image

こんなエピソードがある。少なくとも森保一ハリルホジッチのやり方に興味を持ち、参考にする価値が大いにあると考えていたのは間違いないだろう。

実際、森保ジャパンのサッカーを見ていればわかると思うが、自分たちのやり方にそれほどこだわりはない。大迫のポストプレー以外は、固定された戦術のようなものは見当たらない。(まだ試合数が少ないからかもしれないけど)

「日本人らしさ」という謎の概念を気にしている様子もない。

要するに、日本人とかいう古臭いくくりではなく、"選手たちの良さ"をいかに引き出し、いかに世界に勝つか、それを第一に考えている。


中島、南野、堂安らの個の力もあって、ハリルサッカーよりもワクワクするサッカーをしているので勘違いしている人も多いが、結局、基本的なところはハリル流に近い。

最も信頼できるサッカージャーナリストの1人、清水英斗氏も同じことを述べている。https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=47179

明らかにハリル流と異なるのは、「中盤に絶対にゲームメーカー(司令塔)を置く」という点くらいだろう。これは大きな違いだが、それ以外(例えば守備の仕方、攻撃の手数、一対一への執着心 等)はかなり似ている。

キツイ言い方にはなるが、ヤフコメや5ちゃんで「森保ジャパンのサッカーは面白い!ハリル時代とは違うね!」なーんていってるのはあまちゃんなのだよ。あんたらが面白い面白い言ってるサッカーの陰には、あんたらが大嫌いなハリルホジッチがいることに気づこうぜ。f:id:hasumyon-football:20181226113702j:image

※それから、ハリルホジッチを無能扱いするのはいい加減やめたほうがいい。彼がサッカー先進国フランスで尊敬されていること、若い世代が実力不足(リオ世代)だったり伸び悩んだり(ロンドン世代)している中、何だかんだ日本代表では好成績を残していたこと(どうでもいい親善試合や3軍で挑んだE-1杯では負けてたけど)、降格圏にいたナントを劇的に立て直したことをちょっとは考えたらどうなんすか?

 

まともにサッカーと世界を見ている人なら、「自分たちのサッカー」のような、対戦相手をないがしろにして美しさにこだわる日本流ガラパゴスサッカーがもはや通用しないことなど、一目瞭然だ。


JFAの会長がそれをわかっていないので絶望みが深いが、幸い森保一にはそれがわかっている。(それが当たり前なんだけどな〜)

ハリル流が極端だったことは間違いない。あのディフェンス至上主義的脳筋サッカーは、確かに面白さに欠ける。一種のエンターテイメントである日本代表のサッカーには合わなかったと言わざるを得ない。

しかし、非常に現実的なやり方でもあった。先にも述べたように、谷間の世代と揶揄されたリオ世代(本来下から突き上げるべき世代)の実力不足、主力となっているべきロンドン世代の伸び悩み等に苦しめられながらも、歴代最高の勝率などデータ上素晴らしい成績を残してきたことがそれを証明している。人材に恵まれていたトルシエザッケローニとはわけが違うのだ。

それを踏まえて、森保一は「スポンサー受けする面白いサッカー」をしながらも、水面下ではハリルホジッチが必死に主張してきた「世界に通用する現実的なサッカー」をしようとしている。


そんな印象を受ける。

 

あとは、周囲からの雑音(主にJFA会長とスポンサーによるもの)に惑わされないことを願うばかりだ。