ベトナム戦の北川航也批判について。
ベトナム戦の北川航也について。
昨日彼が置かれた状況と、彼に対する批判を簡単に検証する。
まず、昨日彼が置かれていた状況について。
普段ドウグラスとの2トップで試合に出ているのに、人手不足のためにアジア杯で突然1トップ起用された北川の立場に立ってみよう。
慣れないポジションでいきなり真剣勝負に放り込まれる恐怖はお分かりだろうか?
視界も、周りとの連携も、動き方も変わってしまう。これはこの経験をした者にしかわからないかもしれない。
いくらノウハウを教えてもらっても、相手の戦術や試合状況次第でやるべきことはコロコロ変わるので、簡単には適応できない。ほんとうに大変。ましてや日本を背負って戦う真剣勝負。本人は呑気にインタビューに答えているが、プレッシャーは相当なものだろう。
※オマーン戦では南野とのツートップだったので、北川のワントップは実質昨日が初めて。
※勘違いしている人が多いが、日本代表の現在の序列はこんな感じ。
ワントップ…1大迫、2小林、3浅野、4杉本、5鈴木、6武藤
セカンドトップ…1南野、2北川、3香川、4鎌田
まあ要するに、香川と同じポジションが得意な北川が、人手不足ゆえに大迫と同じポジションで起用されたってわけ。キッツイわな。
彼に対する批判その1
「ポジションが普段と違うことを言い訳にするな!」
これはハッキリ言って、論外。1つのポジションで良い動きをできるようになるだけでも大変なのに、複数のポジションで(ry
サッカーは難しい。だから色々なポジションをこなせるミルナーみたいな選手が貴重なんでしょう。サッカーを甘く見ていることがよくわかるネ。
また、他に多かったのは、そもそも北川がワントップの選手だと勘違いしている人・本来セカンドトップであることを考慮していない人だ。
これは単なる知識不足と、物事を多面的に考える能力の欠如だろう。あるいは初めから彼を批判する姿勢で試合を観ているから、都合の悪いことは知らないふりをしているのか。
その2
「ポストプレー(ボールを収めて攻撃の起点になること)くらいできないと…」
これは正論だが、正論も状況によっては使えない。すなわち、今大会の北川にそれを求めるのは厳しすぎるのだ。
というのも、普段彼はポストプレーをしていない。それ自体の是非はさておき、普段やっていないことをいきなり真剣勝負でやらされるのはさすがに無理難題。例えば皆さんが高校生だとして、ある日突然「今日から学校内では英語で話すこと」と言われたらどうします?
これに関しては、北川にポストプレーをさせた森保一、個人で打開できないために、無理とわかっていながら彼にポストプレーを求めてパスを出し続けた周りの選手にも責任がある。
※なお、大迫がいない時の戦術がないという批判に関しては、少し厳しいと思う。だって準備期間が少なすぎるし、代役はことごとく負傷離脱しているわけだし。これまた無理難題。
要するにこんな感じだと思うのよ。
北川航也「代表に選ばれた!控えだろうけどセカンドトップでプレーするの楽しみだなぁ!絶妙な動き出しで囮になったり隙をついて点を取ったり!」
森保一「センターフォワードがいない… 大迫は怪我明け、武藤は出場停止… となると…」
北川「…………僕ですか? 僕セカンドトップの控え選手(ry
森保「怪我人続出で人手不足だからワントップをやってくれ。他にいないんだ」
北川「えっ… 向いていないと思いますけど… でも仕方ないか…」
いまいちピンとこない人は、ドルトムントで無双していた若き日の香川真司をワントップで起用するようなものだと考えるとわかりやすいかも。
あるいはグリーズマンをワントップで使うとか。
彼らは活躍できるだろうか? まあ、まず無理だろう。グリーズマンがあれほどの攻撃センスを持ちながら、ワントップをやらないのもそういうことだ。彼はセカンドトップか2トップの一角でしか出場しない。(たまにウイングやってるけど)
それだけ、ワントップというのは特殊なのだろう。ボールを持った時にとりあえずの逃げ場がないし、相手からは最も警戒されるし。
だから自然と、ワントップにはめちゃくちゃフィジカルの強い選手か、めちゃくちゃ足の速い選手が集まる。
セカンドトップで輝きを放つ選手をワントップで使っても、輝けない。それを考慮していない人が多い印象を受けた。
仮に昨日の試合で北川がセカンドトップ(南野のところ)で出場してあの出来だったら、流石に擁護のしようがない。だが、昨日の彼は普段やっていないポジションで出場した。オマーン戦のようにツートップでもない。完全なるワントップ状態に近かった。不慣れの極み。そして比較対象はその道の大物・大迫勇也。
それで批判されたらたまったもんじゃない。
サッカーはそんなに簡単なスポーツじゃない。
批判する人は、もう少し多角的な見方をしてほしい。