hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

強豪サッカーチームに必要不可欠な2つの要素

強いサッカーチームとは、どのようなチームか。

連携が良いチーム? 監督が優秀なチーム? ズバ抜けて能力の高い選手がいるチーム? それとも、人間力の高いチーム?

定義は色々あると思う。ただ、現代サッカーにおいて強者たるためには、次の2つの要素が不可欠だと考える。

1、理論でサッカーを考えられるが、理論に雁字搦めになることはない監督の存在
2、明らかな弱点が無いこと

 

どちらも当たり前のことだが、この2つに難があるチームが好成績を収めるのは極めて難しいと思われる。

 

まず1について。
現代サッカーでは理論が重視され、「感情論」や「感覚」の居場所が日に日に狭くなっている。このことは、感覚重視の南米サッカーが理論重視の欧州サッカーに太刀打ち出来ないことからも明らかだろう。この流れは日本にも到来しており、昨年のJ1にはそれが明確に現れた。

しかし同時に、理論だけでは勝てないのもサッカーだ。理論だけで勝てるのなら、SNSで戦術論を語っているみなさんは今すぐ監督になるべきだし、フアン・マヌエル・リージョは世界一の名将のはずである。
これについては過去に持論を述べている。詳しくはhttps://note.com/hasumyon/n/ndac59f7bb32fを参照のこと。

要するに…
監督が理論武装できることは、現代サッカーにおいて必要不可欠である。しかし一方で、理論だけではなかなか上手くいかない。選手の即興のアイデアが無なければロボットのサッカーのようになって意外性に欠けるし、時には理論のかけらもない選手任せの南米流攻撃の方が効果的なこともある。

ゆえに監督には「理論」と「理論に雁字搦めにならないこと」の2つが求められると思う。

 


次に2について。僕は、明確な弱点が無いことは「had better」ではなく「must」だと思う。

明確な弱点と一概に言っても、攻撃における明確な弱点と、守備における明確な弱点がある。

攻撃における明確な弱点とは、
・1人の選手への過度な依存
・攻撃力の低い選手の存在
・攻撃パターンの明白さ

守備における明確な弱点とは、
・1人の選手への過度な依存
・守備力の低い選手の存在
・守備の癖の明白さ

似たようなものではあるが、一応このように分類できると思う。

さて、なぜチーム強化に際して、これらの弱点があってはならないのか。
それは、「相手の守備の弱点を突く攻撃」と「相手の攻撃のパターンを分析する守備」が現代サッカーの重要な要素だからである。

すなわち、
守備における明確な弱点(1人の選手への過度な依存・守備力の低い選手の存在・守備の癖の明白さ)があっては、相手の守備の弱点を突く攻撃に耐えられないし、
攻撃における明確な弱点(1人の選手への過度な依存・攻撃力の低い選手の存在・攻撃パターンの明白さ)があっては、相手の攻撃のパターンを分析する守備を掻い潜れない。

ということである。

ところで、ここまで読んで「依存や戦術の癖はさておき、1人くらい弱点になる選手がいても何とかなるのでは?」と感じた人もいるかもしれない。
だが、その見立ては甘いと言わせてもらう。
1人でもウィークポイントになる選手がいると、周りの1〜2人がその穴埋めに奔走することになる。すると今度はその1〜2人の立ち位置がズレて、相手に狙われる。なのでそこも周囲の1〜2人がカバーをする…といった風に、いたちごっこをする羽目になる。
このいたちごっこを余儀なくされているチームは多いし、別に悪いことではない。「これぞチームワーク!」と美談にすることも可能だ。
しかしながら、これをやっていては強豪チームにはなれないと思う。勝つためにはもっと合理的にリソースを割くべきであり、味方のフォローに必死になっていてはいけない。

ここまで読んで、とあるJ1のクラブチームを思い浮かべた人は多いのではないだろうか。そう。

 

ヴィッセル神戸
である。

 

数年前、三木谷氏が本格的に神戸強化に乗り出した。具体的な内容は、僕が書くまでもなく皆がご存知かと思うので割愛する。

ところで、神戸はなかなか強くならなかった。「金をかければいいってもんじゃない」と批判されていたが、具体的にどう金の使い方を誤っているのかは誰も指摘していなかった。ちなみに僕も指摘できなかった。
今になって見れば、あれは「大金を投じながらも前述の2つの要素を満たせなかったこと」が原因だと思う。

1、監督…理論武装できない監督や、理論に雁字搦めになっている(?)監督を招聘してしまった。常にチームはチグハグだった。

2、弱点…ヴィッセル神戸には常に弱点があった。強化初期はそれこそ大半のポジションが物足りなかったが、数年かけて多くのポジションに強力な補強を施してもなお、不思議なことに1人、明らかな弱点が存在していた(個人名は挙げないでおく)。

 


ところが昨年、ヴィッセル神戸はこの2つの要素を満たすことに成功する。

1、トルステン・フィンクの監督就任
ドイツ出身の熱血指揮官は、スタンダードな欧州流を神戸に移植した。意外にも感情ではなく理論をベースに論理的なチーム作りに成功。しかし理論理論とはならず、時には古橋のスピードやドウグラスの個人技頼みの、南米流攻撃も仕掛けることができる。サイドから攻撃された時に中央がスカスカになりがちという守備面の課題こそあるものの、概ね素晴らしい指揮官と言える。

2、フェルマーレン酒井高徳の加入
現役ベルギー代表と、元日本代表の補強。それも、弱点だった左サイドに。あまりにピンポイントだった。攻撃の足かせは無くなり、守備の穴も消え、イニエスタ・サンペール・山口蛍の守備の負担も大幅に減った。また、この2人は自ら考えて的確に動けるので、監督が細かいところまで戦術で縛る必要がなくなり、結果として攻守共にパターンが固定されず、柔軟なチームになった。「攻撃のパターンの明白さ」も無くなったのである。

昨年の夏に加入した3人によって、ヴィッセル神戸は一躍強豪クラブへと変貌を遂げたように思える。もっとも、先に挙げた守備面の悪癖とか、ACLに出場するわりに選手層が薄いとか、依然として弱点(というか不安材料)は存在する。
しかしながら、それらは「明らかな弱点」と言えるほどのものではない。
1.2の要素を満たした以上、ヴィッセル神戸は強豪クラブになったと考えていいと思う。

 


ヴィッセル神戸を具体例として挙げたのは、強豪クラブになろうと数年もがき、遂に僕の考える2つの要素を満たして生まれ変わった、あまりに典型的な例だからである。
神戸以外のチームについても、概ねこの法則は当てはまると思う。例えば2018年ロシアW杯を制したフランス代表や、大健闘を見せたクロアチア代表、イングランド代表もそうだ。

所詮は素人が思いついた「激しさを増す現代サッカーを勝ち抜くための2つの条件」。もしかしたら、他にも必要な条件はあるのかもしれない。

ただ、現在の僕が辿り着けたのはこの2つの要素なのである。そして、この2つだけで良いかはさておき、この2つは絶対に欠いてはならないと考えている。
そんなわけで自信が芽生えたので、こうして文章にした次第である。