hasu-footballのブログ

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僕が観た傑作韓国映画5選+1

初めに断っておくが、僕は韓国という国があまり好きではない(本題から外れるので理由は書かない)。しかし、韓国の映画の質の高さには毎度驚かされている。

 

実は本日で、気になっていた韓国映画5作品を全て観終えた。どれも素晴らしかった。そこで今回は、僕が観た韓国映画5つをランキング形式で紹介し、感想を書こうと思う。決してネタバレは踏まないので、興味がある人は読んでみてほしい。

※なお僕の嗜好の関係上、恋愛映画は一つもない。サスペンスのみである。そもそも、韓国映画はサスペンスが至高なのだ。

 

5位 母なる証明

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2009年公開 監督:ポン・ジュノ 主演:キム・ヘジャ 129分

【ストーリー】

軽度の知的障害を持つイケメン:トジュンと、彼を愛してやまない母。2人は貧しい日々を過ごしていたが、ある日トジュンが殺人容疑で逮捕されてしまう。警察によれば、女子高生殺人事件の容疑者なのだそう。確かにトジュンには事件発生時のアリバイがなく、他に怪しい人物もいない。そのため、皆がトジュンを犯人だとみなす。しかし、愛する息子が犯人のはずがないと確信した母は、孤立無援の中で1人、真犯人を探し始める…

 

【感想】

終始暗い雰囲気の中、母親の異常なまでの息子愛が痛烈に描写される。これだけでも観る価値があると思う。(ポン・ジュノは苦難の中にある人間を描くのが本当に上手い)

もはや狂気とさえ言える彼女の執念は、どのような結末を迎えるのか。それが気になって終始目が離せなかった…と言いたいところだが、所々に若干の間延び感があり、多少ダレたのは否めない。必要以上に尺を取るシーンが多かった印象。それが勿体なかった。(何様)

オチはとても複雑な気分にさせられる。自分を愛し、無罪を信じて走り回ってくれる人がいることは、とても幸せなことなのだ。

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※余談 いとうあさこにそっくりな女子高生が出てくることで有名

 

4位 新 感染

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2016年公開 監督:ヨン・サンホ 主演:コン・ユ 118分

【ストーリー】

家庭を顧みないビジネスマンのソグが、娘と特急で釜山へ行くことに。しかし彼らが電車に乗り込む頃には、ゾンビウイルスが密かに大流行していた。やがて電車にも感染者が乗り込み、何も知らない乗客はパニックに陥る…

 

【感想】

ゾンビ要素に超特急を組み合わせた作品。電車という狭く長い空間で、増え続けるゾンビからいかにして逃れるか。パッケージ写真でネタバレされているが、後半からは電車を降りて駅や車両基地に舞台を移す。

シンプルなパニックものではあるが、一筋縄ではいかない攻防戦や巧みな人間描写が高評価の要因だろう。映画だと分かっていてもついハラハラしてしまう演出と、迫真に迫る俳優陣の演技力に拍手。

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※余談 妊婦役のチョン・ユミがとても綺麗。

 

3位 チェイサー

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2008年公開 監督:ナ・ホンジン 主演:キム・ユンソク 125分

【ストーリー】

デリヘル嬢が次々に失踪する事件が発生。彼女たちの雇い主であるジュンホは、最後に消えた嬢:ミジンの着信履歴と彼女の行き先を手がかりに、犯人の家の特定に乗り出す…

 

【感想】

激しいアクションシーンはほとんどないが、息をつく暇もないほど画面に釘付けになる。終盤は息をすることを忘れてしまうので注意。

だが、韓国でR-18指定になったのも納得のグロさがキツい。量は少ないが、質がエグい。犯人の鬼畜さにも心をえぐられる。グロが苦手な人は観てはいけない。

ちなみに、犯人が誰かは重要ではない。わりとすぐわかる。話の肝は犯人とジュンホの攻防と、ジュンホがミジンを救えるのか。圧倒的に不気味でスリリングな演出が巧妙。ついつい感情移入させられてしまい、観ていて思わず「やめてくれ〜」「何やってんだよ〜」と言いたくなってしまった。中だるみを一切許さないストーリー展開も見事。

ネタバレになってしまうので後味の良し悪しは書かない。グロさのせいで観る人を選んでしまうのがもったいない名作である。

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※余談 実際にあった事件を基にしている。

 


2位 殺人の告白

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2012年公開 監督:キム・ビョンギル 主演:パク・シフ 119分

【ストーリー】

ヒョング刑事の命がけの捜査も虚しく、連続殺人事件が時効を迎えてしまう。それから2年後のある日、ドゥソクという青年が「あの事件の犯人は私です」と公表する。端正なルックスと溢れ出るカリスマ性で一躍時の人となった彼だったが、長年事件を追い続けたヒョングは「こいつは犯人ではない」と確信する。

一方その頃、事件の被害者遺族が結成した団体が、ドゥソクを拉致する計画を立てていた。

果たしてドゥソクは真犯人なのか。そして彼はなぜ、告白したのか…?

 

【感想】

どんでん返しが素晴らしい。完全にやられた。個人的にどんでん返しが好きなので、2位にランクインさせてもらった。アクションがド派手でめちゃくちゃだったり、所々笑えるシーンもあったりと、ツッコミどころもあり、純粋に映画としての質を見れば上の下くらいだろう。しかし、徐々に明らかになる登場人物たちの過去、連続殺人事件の真相、そしてドゥソクの告白の本当の理由がお見事すぎる。これだけ質の高い脚本を一から書いた脚本家にあっぱれ。

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※余談 この映画は、後に紹介する「殺人の追憶」にインスピレーションを受けて制作された。また、登場人物に、及川光博&ノンスタ石田、元サッカー日本代表森岡隆三石田ゆり子、たんぽぽ川村、芸人の永野のそっくりさんがいる。

 

1位 殺人の追憶

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2003年公開 監督:ポン・ジュノ 主演:ソン・ガンホ 130分

【ストーリー】

連続強姦殺人事件が発生する。3人の刑事が捜査を進めるが、犠牲者は増え続ける。それでも粘り強く懸命に捜査を進めた甲斐あって、次第に事件の共通点や犯人像が明らかになる。そしてついに、怪しすぎる若い男に行き着くが…

 

【感想】

文句のつけようがない映画。脚本、構成、演技、演出、雰囲気作り。全てが完璧である。

これはサスペンスだが、ヒューマンドラマとしても優れている。手掛かりの少ない難事件に挑み、次第に心と身体を蝕まれていく3人の刑事。怪しいような怪しくないような、微妙なラインに立つ容疑者たちの奇妙な日常。そして、それらを含めた警察内部でのやり取りもテンポが良く、中だるみ知らずである。

また、中盤に村で繰り広げられる追走劇は最高である。特に、容疑者が逃げ込んだ炭鉱の雰囲気。あの絵面だけで、この映画は傑作だとわかる。

綺麗に終わらないオチに不満を持つ人がいるようだが、実話をベースにしているのだから仕方ない。逆に言えば、オチのモヤモヤ感にさえ不満を感じなければ、もう他にケチはつけようがないということである。

ポン・ジュノはこの映画の大ヒットで一躍名を轟かせ、今や世界的な名監督である。天才の技をご覧あれ。

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※余談 この映画の基となった未解決事件の犯人が2019年に判明し、話題になった。

 

番外編:オールドボーイ

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【ストーリー】

突然誘拐され、窓のない部屋に監禁された男。15年後に解放された彼は、自分を監禁した犯人と監禁の理由を求め、動き出す。

 

【感想】

韓国映画といえばこの作品を思い浮かべる人も多いだろう。僕も観た。しかし、僕が観たのはハリウッドのリメイク版だ。そして、衝撃のオチを知った後に韓国版のストーリーを読んだところ、リメイク版の方がストーリーが優れているような気がしてしまったので、結局韓国版は観ずにいる。(内容は99%同じだが、ハリウッド版の方が展開に無理がないのだ)

実際は、演出から何から韓国版の方が評価が高い。レビューを観るに、相当な傑作なのだろう。もっとも、あのストーリーなら傑作になるのは当然なのだが…

本当は紹介したかったが、観ていないものを紹介するのはいかがなものかと思いやめた。

 

※余談 韓国版とハリウッド版。上述の通りストーリーは99%同じだが、韓国版で少し非現実的だった部分をハリウッド版は絶妙な方法でより現実的にしている。韓国版に比べ暴力描写のエグさも緩めらしいので、ハリウッド版もオススメである。ちなみにこの映画の原作は日本の漫画である。しかし、基本的な設定を除けば別物であり、映画に比べてオチも微妙なので、あまりオススメしない。映画化に成功しすぎた珍しい例と言える。

 

おわりに

韓国にマイナス感情を持つ人が多い今の日本。僕も正直、良い印象は持っていない。しかし、映画にまでその感情を持ち込まなくてもいいと思う。映画は映画。政治的な思想を理由に、抜群に優れた韓国映画を避けてしまうのはもったいない。

今回紹介した映画5つには、反日要素など一切ない。余計なことを考えず、純粋に「芸術作品」として味わってみてはいかがだろうか。