2018年のJ1リーグ・全チームの総括
はじめに書いておきますが、来年は今年以上に忙しくなるので、J1の試合をどの程度観られるかがわかりません。もしかしたら、このように全チームについて感想を書くことも難しくなるかも……
まずは全体の総括
史上最もハイレベルだったと言っていいだろう。俺の知人のサッカーファンが「今のJ1はレベルが高い。バカにするとかえってニワカだと思われる。」と言っていたのもわかる。欧州5大リーグ、ブラジル1部リーグ以外に、Jリーグよりもレベルが高いと確実に言えるリーグはもはや無いと言って良いだろう。DAZN参入以降Jリーグに将来性を見出し各チーム・スポンサーが資金をケチらなくなり、フロントが有能なチームはさまざまな取り組みを見せ、非常に楽しいシーズンとなった。イニエスタのJリーグ参戦もあり、Jリーグの歴史に残る一年となっただろう。
それではお待ちかね、チームごとの総括。
1位 川崎フロンターレ
圧倒的な強さを見せつけた。はっきり言って、一方的な試合になってつまらないので、川崎の試合はあんまり観なかったゾ←。史上最もハイレベルだった今季のJ1で悠々優勝。海外厨も認めざるを得ない知的なサッカーは、イタリア人ジャーナリストの目にも留まった。こんな素晴らしいチームがJリーグにあることが、日本人サッカーファンとして誇らしい。一方で課題もある。1.ベテランが多いこと(スタメンの若手は守田と奈良のみ)、2.選手層があまり厚くないこと。今季もACLを真剣に戦っていたが、Jリーグとの両立に苦しんだ印象。3.他チームが続々専用スタジアムを作ろうとしている中で、川崎は専用スタジアムを作れない状態にあること。ホームタウンは横浜県()屈指の巨大都市。(駅前の雰囲気いいよね。東芝がある方)。マーケティングが神なので、観客は増え続けているし、ファン層も幅広い。DAZNマネーをどう使うかに注目してます。
2位 サンフレッチェ広島
前半戦に怒涛の快進撃を見せ、全Jリーグファンを驚愕させた。だが忘れていた。戦力的にはJ1残留が目標のチームだったんだ… 城福の戦術が(中村憲剛に暴露されたことも響いたのか)思ったよりも早く丸裸にされ、パトリック無双も終わり、後半戦の勝ち点だけ見ればあら大変。最下位近いじゃないですか。ただし最終戦の札幌戦では底力を見せた。この順位も妥当だなと。
でも来季は補強しよう。今のメンバーはベテランばっかりだし、ACLとの両立なんて自殺行為だよ。かといってACLを捨てるとアンチが増えるの。それと川辺を1.5軍にしておくなら放出してあげてくれ。あと新スタジアム頑張って。相手は野球しか知らない人たちだから大変だろうけど。ちゃんとしたスタジアムさえあれば3万人くらい観客が来るチームだと思うよ。
3位 鹿島アントラーズ
ACLで楽々勝ち進み、1軍で戦い続けて優勝。Jリーグ側がしょうもない日程しか考え出さないせいで、仕方なくリーグ戦に2軍を送り込んで2連勝するという層の厚さも見事。鈴木優磨の急成長と、ジーコのTD復帰、そして、彼が連れてきたセルジーニョの存在が大きかった。この3つが無ければACLの優勝は無かっただろうし、リーグ戦でも4〜6位あたりに終わっていただろう。
相変わらずやっている戦術はシンプルだが、結局選手の能力が高いチームは、対戦相手をしっかり研究さえしておけば、あれでいいんだよね。変に癖がないから相手チームは対策が難しい。ペルセポリスが2試合連続で無策状態だったACL決勝を観ていて、そう思った。でも中盤に司令塔はいた方が良いかなとは思うアル。
ようやくレアンドロも復帰したし、万全の状態。クラブワールドカップ、頑張れ。
4位 北海道コンサドーレ札幌
SAPPORO 〜Leading Innovation〜
サッカーで最も大切なのは、フロントと監督。それを証明した。(もちろん選手も粒ぞろいだけどね)。昨年四方田監督で上手く行っていたのに、より高みを目指してペドロヴィッチに替えるというリスキーな采配が的中。野々村社長は日本の宝である。
このチームは戦術が実に難解で、正直、見ていてよくわからなかった。ボランチとセンターバックの動きが不規則すぎて意味不明。あれぞカオス。相手からしたら悪夢。ペドロヴィッチの戦術なんだろうけど、あれをしっかり遂行できる選手たちも素晴らしい。これぞクラブチームの醍醐味。
あとチャナティップは偉いよねえ。東南アジア向けの広告塔にもなって。プレーでも中心になって(キリンFIREのCM風)。158cmであれだけ出来る。小柄なサッカー少年の希望の星だよ。
問題児として有名なジェイが終始楽しそうだったのも印象的だった。このチームはまだ伸びる。あとは北海道のマスコミがまともに報じてくれたら最高だね。
5位 浦和レッズ
スタートダッシュに失敗し、急遽大槻組長を監督に。その組長がまさかの快進撃をリードし復活。その後は名将オリヴェイラを迎えて本格的にチームを本来の位置に戻そうと努力した。ただ、加入して早々フィットしたファブリシオが大怪我をするという不運もあり、5位に。
チームとしては、スタメンに橋岡と岩波以外若い選手がいないのが気がかり。ベテランに良い選手が多いのもわかるけど、運動量ではどうしても若い子には負けるわ。来季、どのような補強を見せるか。本気で優勝を目指すなら、ワシントンみたいな怪物を獲っても良いかもしれない。別にフォワードに限らず。憎たらしいくらい強いのが浦和でしょう。
6位 FC東京
強い!今年は強い!と思わせておいて最終的には「ギリギリ上位に入っている」のがこのチーム。ディエゴは無双、高萩も活躍、センターバックも優秀、室屋は代表に呼ばれた、あとは何が足りないんだろう… 慢性的な運動量不足と連携の悪さは長谷川健太が克服したし、あとは大物外国人かな… 今年は金もいくらか入るし、ルーカスくらいの優良助っ人を獲ってもいいかもよ。(それが結構難しい)
23区外とはいえ、首都東京のチーム。23区からそれほど離れているわけでもない。目白駅にはデカいポスターも貼られる。ここが強くなったらJリーグはもっと盛り上がりそう。もう関東圏ではサッカーが一番人気なんだから。
7位 セレッソ大阪
なんかこの順位にいるのが信じられんよね。あれだけ後半戦で散々だったのに。女子校と揶揄される緩い雰囲気に慣れてきた選手たちに、尹晶煥は厳しすぎたか。今季は杉本健勇が大チャンスでことごとくシュートを外すという非常事態もあって中途半端なシーズンに。戦術と選手の質は高いのに、終盤戦は覇気が消えていた。来季は主力が流出しそうだし、少し心配。
でも、セレッソのサポーターは総じて精神的に落ち着いていて優しいので好きです(突然)。
8位 清水エスパルス
セレッソよりも順位が下なのが意外。ドウグラスを補強した後半戦はめちゃくちゃ強かったからねー。北川は代表に選ばれるまでに成長したし、他の選手も地味にクオリティが高い。本拠地のIAIスタジアム日本平はいつも盛り上がっているし、観客層もかなり幅広い印象。こういうチームには是非とも頑張ってほしい。あとヤン・ヨンソンはやっぱりいい監督だわ。攻撃に人数を割きながらも守備のリスクを最小限にとどめるのが本当に上手い。彼をシーズン終了と同時に切った広島の選択は正しかったのだろうか…
9位 ガンバ大阪
シーズン中盤まではダントツ最下位だったのに、気づけばこの順位である。イケメン監督の就任、今野の復帰、ファン・ウィジョの復帰。この3つで劇的にチーム力が上がった。そりゃ選手層を見りゃ、ちゃんとチームとして機能すれば強いことは明々白々なんだけどさ。J2降格がほぼ決まってから監督を交代した柏とは大きな差がついたね。それと、チームを救ったFC東京戦のアデミウソンのゴールは忘れちゃいけない。俺、ガンバファンじゃないのに泣いたゾ。
とはいえファン・ウィジョの移籍話は絶えないし、来季は遠藤と今野の後釜も含めて選手を死ぬ気で探す必要がありそう。ケチケチしてると主力が負傷した時に悲惨なことになるのは、今年の前半戦で身をもって知ったでしょう。浦和同様、このチームは強い方がJが盛り上がる。来季はもっと上を目指してほしい。
あー、あのスタジアムめっちゃ評判いいし、今度行こうかなー。別にガンバファンじゃないけど。迷惑?笑
10位 ヴィッセル神戸
某氏「Jリーグは話題性がないから報道されない」
神戸「ポドルスキ獲得! イニエスタ獲得! 新監督にグアルディオラの憧れ・リージョ!」
今季、Jリーグ・日本サッカーに最も貢献したチームだろう。
今季のJリーグはレベルが高かったこともあり、この2人が加入しても負けることが多かった。リージョの戦術も、選手たちがミスするために上手く機能しないことが多かった。これに関しては来季補強するしか… 神戸「ビジャ獲得! アドリアーノ、カイオ、山口にオファー!」
見事。ただし運動量足りなすぎるのが不安でもある。山口は守備面での運動量を補えるかもしれないが、正直それなら伊野波や藤田でもいい気が。だって山口って攻撃面で全然効果ないぜ。イニエスタの相方が務まるとは思えない。
とはいえ、夢のあるチームである。日本にバルサを作りたい、優れた手本と指導者を呼んで日本サッカーを成長させたいという壮大なビジョンには憧れる。さすが三木谷氏、サッカーに金をかけることの重要性と効果を把握してらっしゃる。もちろん趣味の一環でもあるんだろうけど。笑
はっきり言って、神戸のやり方を批判している人は老害にしか見えない。日本は経済成長など目指さなくて良い!とか言ってる某内田氏みたいだよ。俺は応援するよ。ただしカイオと山口の獲得には反対。
11位 ベガルタ仙台
前半戦だけで11得点を挙げていたエースの西村がシーズン途中でロシアに移籍するという非常事態にも冷静に対処。戦力を見れば、今季のJ1で特に苦しまずに残留できたのは偉業だ。(まあ有名選手がいないというだけで、地味に良い選手は沢山いるんだけどね)
本拠地も毎回結構埋まっているし、地域にしっかり根付いている印象。やっぱり監督とフロントって大事だよ。マジで。イケメン監督にあっぱれ。あと今度プライベートで仙台に旅行に行くんですけど、どこかオススメあります?笑。
12位 横浜F・マリノス
エスナイデル顔負けの異常なハイラインのためにネタクラブとして扱われることが多かった今季。全ポジションに優れた選手がいることを考慮すれば、もっと良い順位でもおかしくなかったとは思う。とはいえ、全体的にラインを下げすぎる日本で、あのハイラインを実践し、そこそこ成功させたのは、日本サッカー史に名を刻む偉業だ。(言い過ぎか)
来季はシティとの提携を武器に大物を獲得しよう。ウーゴをクビにするってことはある程度その意志はあるんでしょう? 楽しみにしてるネ。
13位 湘南ベルマーレ
降格可能性が高いとか書いてすみませんでした。あのサッカーを、一年を通してやり続けたのは異例のこと。普通やりたくても出来ないヨ。ルヴァンカップもあるし無理やろ…と思っていたが、俺は曹貴裁と湘南の選手たちを侮っていたようだ。
若手を積極起用するチーム、だぁーい好き。
ライザップが事業を膨らましすぎて赤字()なので必ずしも先行きが明るいとは言えないが、昇格してすぐ降格が定番だったチームが残留したのは大きい。(まあ、シーズン開幕前に少し予想してたけどね。モーメントに載せてあるツイート参照)。それと、新スタジアムが楽しみだ。
14位 サガン鳥栖
今季地味に俺が応援していたチーム。トーレス獲得は無駄ではなかった。勝てなければ自動降格がぐっと近づく前節(横浜戦)で劇的な決勝ゴール。冬になってからは前線から岡崎ばりに猛烈な守備をするようになり、真剣度を伺い知れた。
もともと守備の構築(だけ)はフィッカデンティに教え込まれていたためJ最強だったが、攻撃はチグハグで、苦戦した。そこを金明輝が修正し、上位チームと互角に戦えるチームになったという印象。
良い選手が揃っているし、あの小都市にあるそこそこ大きな本拠地がいつも大入りだし、魅力のあるチーム。改めて、残留してくれて嬉しい。来季はどうなるのだろう… サイゲは資金を減らすだけで援助は続けるという話を聞いたんだけど… どうなるのだろう…(2回目)
15位 名古屋グランパス
まさに奇跡の自動残留。試合後のジョーの涙、シャビエルの大はしゃぎが印象的だった。個々のメンツを見れば優勝争いをしていてもおかしくないチームだが、風間スタイルの浸透に時間がかかり(てか結局浸透してない説)、残留がやっとというシーズンにはなった。ただ、このチームからJ1得点王が出たし、あの巨大な豊田スタジアムが何度か満員になったし、シーズンを通して最も盛り上がっていたチームの1つだと思う。ジョーがJリーグの難点をズバズバ語ってくれたので、Jリーグ全体にとってもありがたかった。大金を出してくれたトヨタ自動車も出費を後悔してはいないはずだ。(maybe)
個人的には、前田直輝加入後の大躍進がとても楽しかった。シャビエルが怪我をしたのをキッカケにブーストは終わってしまったけど、あの当時のグランパスはJ史上最恐のチームだった気がする。楽しませてくれてObrigado!
16位 ジュビロ磐田
もともと資金の潤沢なチームではない上に、金をかけて補強した主力が続々負傷離脱するという不運に見舞われたシーズンだった。田口頼みの攻撃戦術でシーズンをほぼ戦い、自動降格せずに済んだのだから褒められるべき。
それにしても最終節は不運だった。数年前のJ1昇格プレーオフで山形のGK山岸にヘディングを決められたのを思い出した。
入れ替え戦、頑張れ。平常心で戦えば勝てるはず。
17位 柏レイソル
フロント全員辞めてくれ。もうウンザリだ。俺の友人にはレイソルファンが多いんだよ。彼らとJ1の話が出来なくなる。困るアル。
第一あなたたち、サッカーを知らないでしょ。Jリーグナメてるでしょ。昨年から一人で失点を減らし続けてきた中村航輔が長期離脱していたとはいえ、あの戦力でJ2降格って、逆に難しいぜ? なぜあれだけ悲惨な状態でも監督を替えなかった? なぜあれだけ大きな都市にありながら、1万5000人収容のスタジアムしか無い? そしてなぜ、相手によってはそれすら埋まらない? マーケティングをサボるとどうなるかは日立製作所が痛いほど知っているはずなのに、何も活かせなかったことに失望だよ。今回の降格でフロントを刷新しなければ、また数年後に同じ轍を踏む。その意味で降格は絶好のチャンスだと捉えて、改革してくれ。
18位 V・ファーレン長崎
最下位には終わったが、素晴らしい戦いぶりだった。数年前にチーム自体が消滅しそうだったこと、少ない資金力と戦力であれだけ戦えたこと、そしてチームマスコットがダントツで可愛いこと。この3つは堂々と誇っていいと思う。
相当練りに練ったであろう戦術は、金を使って大幅な補強を実施した他チームに後半戦で攻略された。だが、長崎に同じように資金があれば、あれは防げた。つまりは金で負けたのだ。それ以外は十分J1レベルだ。特に、複合施設型新スタジアムと、チームを地域に浸透させるための高田社長の斬新な取り組みは実に面白い。
今季、さまざまな取り組みでJリーグを盛り上げてくれた。全国テレビにも出たし。こんな楽しみ方があったのかと驚くことも多かった。今季のJ1をエンターテイメントの側面から最も盛り上げてくれたのは、実は長崎かもしれない。
負けが続いても下を向かず「サッカーには夢がある」と語り続ける高田社長の姿は、Jリーグの全サポーターを味方につけたことだろう。
フロントが優秀なチームは必ず伸びる。
ゼイワン復帰、お待ちしています。(てか俺はどの立場からこんなことを言っているのだろう…)