hasu-footballのブログ

サッカー関連の記事多め。何かしら得ることのある内容にするつもりです。

Jリーグのレベルは上がっているのか?

まずはこの動画を見てみてほしい。未だ破られていないJ1最多得点記録(33試合33得点)を打ち立てたアラウージョの、その年のゴール集だ。

https://youtu.be/0wHjonql0Ag

f:id:hasumyon-football:20181111232637j:imageアラウージョ

 

 

いかがだろうか。「アラウージョ半端ないけど、ディフェンスのレベルが低いな」と思ったのではないだろうか。

 

俺が言いたいのは、まさにそれだ。

アラウージョのゴール集はあくまでも一例。

10年前からサッカーを観ている人なら分かるだろうが、当時(10年前)と比較して、Jリーグのディフェンスの質は大きく向上しているのだ。

個人個人の能力にそこまで差があるかは判断しかねるが、組織的守備の質は間違いなく上がっている。

 

でも、それは世界全体にも言えることでは?

 

その通り。世界的に守備のレベルは年々上がっている。(だから1人で打開できる選手が減り、つまらなくなったという声が出てくるのだ)

しかし、Jリーグの守備力は、世界のそれを大きく上回るスピードで進化しているように思える。世界との差が縮まっているのだ。依然差はあるが、昔に比べればだいぶ小さくなったように思える。これは以前書いたようにスポーツエリートがサッカーを選ぶようになったことや、組織的な守備を指導できる指導者が増えて来たことが大きいだろう。

アラウージョ(当時ブラジル代表で、あのロナウドの控えの座を争っていた)ほどのストライカーこそ来ていないが、特段衰えているわけでもないポドルスキイニエスタトーレスが無双できないことからも、Jの守備が堅くなっていることはお分かりだろう。下位チームでもしっかりとした守備を構築することができるのは、Jリーグの1つの特徴だ。

 

一方で攻撃力に関しては、守備力ほどの進歩はないように思える。もちろん下位チームの攻撃力だけ見れば明らかに上がっている。しかし、上位チームの攻撃力は果たしてどうか。ワシントンとポンテを擁した頃の浦和レッズアラウージョフェルナンジーニョを擁した頃のガンバ大阪よりも攻撃力が高いと言えるチームはあるだろうか。(まぁ川崎は言えるかな)

 

これに関しては、ディフェンダーよりもフォワードの方が海外に移籍しやすいからというのが最大の理由だろう。すなわち、良いフォワードはどんどんJリーグから出て行ってしまうのだ。

そして残念なことに、DAZNが参戦するまではJ1のチームもケチケチしていたので、スター選手をとろうとしなかった。

良い選手は出ていき、代わりに入ってくる選手はパッとしない。これが、Jリーグフォワードのレベルがそれほど上がっていないことに繋がっていたと思っている。

今年は殆どのチームにJリーグの平均値を大きく上回る点取り屋がいるため、かなりレベルが上がったような印象は受ける。そのほとんどが外国人だが、前述したように優秀な日本人ストライカーはすぐに海外に出て行ってしまう以上、仕方ないだろう。

今後は大物ストライカーの獲得を図るチームが増えてくるだろう。

 

戦術面はどうか。これは間違いなく全体的に上がっている。しかしそれは世界にも言えることで、Jリーグが特段伸びているというわけでもない。相変わらず柏レイソルのようにJ1にありながらろくに戦術も無いようなチームもあるわけで、戦術だけ見ればJ2の方が充実していたりする。これはJリーグの喫緊の課題だろう。その意味で、世界屈指の戦術家であるファン・マヌエル・リージョを監督に招聘したヴィッセル神戸の試みは非常に大きな意義を持つ。心から応援したい。

f:id:hasumyon-football:20181111232904j:image左がリージョ、右がグアルディオラ

 

☆先日、イニエスタが素直にJリーグを褒めていたことをツイートした。反応の中には「どうせリップサービスだろ」という悲観主義的な物もあったが、イニエスタはあまりリップサービスをしない選手だ。(答えづらい・あるいは嘘をつくことになりそうな時は上手くはぐらかすタイプ)

それに、彼が本気でプレーしているにもかかわらず苦戦しているのは、試合を観ていればよく分かる。(もちろんレベルの違いは歴然だが)

これらの事情に鑑みれば、イニエスタは本気で「Jのレベルの高さに驚いた」と言ったと考えていいだろう。というより、そう考えるのが自然で、むしろ「リップサービスだ」と解釈する方が不自然(かつ卑屈)だと思われる。

 

★とはいえ、Jリーグはヨーロッパ5大リーグに比べればまだ未熟だ。(歴史から文化に至るまで大きな差があるのだから当然のこと。よく健闘している方だ。)

ここからさらにJリーグを高めていくには、我々Jリーグファンがファンを増やして行くことが欠かせない。言い方は悪いが、お金を出す人は多いに越したことはないのだから。

J2町田のように少ない資金で強くなる組織もあるが、逆に言えば、あれは極めて珍しい例だからこそ話題になっているのだ。

普通は、ファンが多く、金がある組織の方が強くなる可能性が上がる。

 

悲しいことに地上波にはあまり期待できないので、(少なくともサッカーの価値を知る人たちがテレビ局の覇権を握るまでの間は)、SNSで地道にサッカーの面白さを発信するなり、友達をJリーグ観戦に誘うなりと言った、個人単位での活動が大切になってくる。というか、それしかない。川崎のように強力なマーケティング力を持つチームならまだしも、大半のチームのマーケティングにはあそこまでの効果はない。マーケティングに頼っていてはいけないと思う。

言い方を変えれば、我々がマーケティングをしようということだ。

幸い、現代はそういう時代だ。すなわち、テレビに頼らずとも、1人のインフルエンサーが時代を変えられる。

Jリーグファンにもインフルエンサーは大勢いるはずだ。SNSに限らず、現実社会でも。(SNSは似たような趣味を持つ人が固まる傾向にあるので、そうでない(つまりJリーグに興味を持っていない人が大勢周りにいる)現実社会で影響力を持っている人の力の方が、むしろ有効かもしれない。)

 

自分の応援するチームのファンを増やしたいという純粋な思いからでもいいし、もっと視野の広い「Jリーグを日本一のスポーツコンテンツにしたい」という野望からでもいい。

少しずつ自分たちの方法でJリーグの魅力を広めていくことが、Jリーグの成長に繋がるはずだ。

 

とまあ、Jリーグのレベルの話から脱線したように思うかもしれないが、そうではない。

Jリーグのレベルは上がっている。世界との差が縮まっている。しかし、まだトップクラスとは小さくない差がある。この差をさらに埋めていくためには、Jリーグのコンテンツ力を高めることが必要不可欠だろう。我々Jリーグファンも、出来ることをやっていこう。

と言うことだ。ちゃんと論理的に繋がっているのである。

Jリーグファンのイメージを下げるようなことは絶対にやめよう。例えばサッカー中継に好きな番組を潰されて憤怒している人にクソリプを送ったりとかな。アンチを増やすだけだぜ。Jリーグファンは心が広い というイメージを作り上げよう。

(えっ…? お前が言うなって…?)
f:id:hasumyon-football:20181111232512j:image

 

Never underestimate the influence you have on others.  

あなたが他者に与える影響力を過小評価してはいけない。

ローリー・ブキャナン (アメリカの作家)